人類と“反省”・・・の巻
世界がキナ臭い。
子どものころの話だが、世界大戦が2度も起きたということを不思議に思ったことがある。対立が戦争に発展したり、一方的な侵略が行使されるといったことは子どもなりに理解できたが、それがなぜ世界的な大戦争になったのかがにわかに理解できなかったのだ。
ほどなく、その重要な要因として軍事同盟だの「同盟国」だのといった実態が結びつくことに気がついた。さまざまな事情などから、国同士が軍事面を含め手を結ぶということも理解できる反面、それが高じて収拾のつかない大戦争へと発展する。いささか単純化したきらいはあるかもしれないが、いまでもその理解が大きく変わったわけではない。
プーチンロシアによるウクライナ侵略に端を発し、フィンランドなどが新たにNATOへの加盟を表明している。その事情や気持ちは理解できるつもりだし、仮にオレ自身がそれらの国の国民であったとしたら、その方針を完全に否定することができないに違いない。
だが、これはまさに世界大戦への一里塚なのではあるまいか?
そうならない前にプーチンが失脚──外国からの圧力などではなく、ロシア国民の手によって──してくれればとも思うが、あえてプーチンの立場を理解しょうとするのであれば、脅威以外のなにものでもないだろう──いかにそのスイッチを押したのがプーチン本人にほかならなかったとしてもだ──。
恐ろしいのは、わが国もそんな動きに同調しているということだ。プーチン戦争を奇禍として憲法改定だの軍事費大幅増強だのと声高に騒ぐ与党やマスメディア。NHKニュースをチェックすると、とりたてて大きな動きがあったわけでもないのに、多くの場合でウクライナがトップに据えられている。もちろん重要なニュースであることは否定しないものの、その陰でそれだけの報じるべき出来事が葬られているのかと思う。くわえて、そのニュース編成こそが、与党を中心とする勢力が目論む憲法改定や軍事費大増強に向けての世論誘導の役割を担っているとの見方をどうしてもぬぐえないのである。
以前も記したが、戦争というものは一旦はじめてしまえば、終わらせることが非常に困難である。米国による諸戦争をみよ。あるいは、朝鮮戦争を仕掛けた北朝鮮(金日成)はほんの数日で戦争を終結させる計画であった。それが完全なドロ沼と化し、いまだ終戦できずいる。プーチンにしても、自ら起こした戦争をいつまでも続けたいなどとは考えていないハズで、すでに終わりの見えない状況に苛立ちを見せているかもしれない。だが、当事者がどうしようと──自らの敗北宣言を含め──簡単には終わらせられないことは、人類の歴史が証明している。
そういう教訓があるにも拘わらず、軍事増強を叫ぶ日本という国の愚かしさ。まぁ、マトモな外交能力がないことや、自らが米国の属国であることを自覚しているがゆえのオママゴトなのかもしれないが、アワを食わされるのは我々一般国民である。経済面を含めて。
さて、このごろ早朝にネコどもから騒ぎ起こされる──腹減った~!──のが日課となってしまっている。つい先日は4時台──寝たのは2時過ぎだ是(泣)──に起こされた。で、朝食を用意してやったついでに、茶をいれつつTVをつけたら、NHKニュースにマハティール元マレーシア首相がインタビューに応じている映像が放映された。
そのなかで、非常に重要な発言がなされていた。
>「第2次世界大戦後、各国は戦争は破壊をもたらすという教訓を得ました。しかし残念なことに戦争によって国家間の対立を解決できるという古い考えに戻りつつあり、これは非常に危険だ」(同ニュースより)
これは、まさに基本的立ち位置なのではあるまいか?
さらに米中対立についても鋭い見識を披露している。目下、米国が中心となって進めているIPEF(インド太平洋経済枠組み)について、「中国を排除し、対抗しようとするものだ」との見方を表明したのである。すなわち、「(米国が進めていることは)中国に反対し、米国に友好的な国をつくるという政治的な目的」にほかならない。さらに「経済発展には安定が必要で、対立は必要ではない。米国は中国の締め出しに熱心らしく、南シナ海に艦艇を送り込んでいる。(これでは)いつ偶発的な事故が起きて暴力行為や戦争になるかもしれない」とし、米国と中国との対立激化を避けることが必要だと語っている。
これを見たとき、「わが国政権やその傀儡と化したNHKと180度異なる意見だが、単独インタビューを所望したのはNHKであり、なきものとすることができなかったのかねぇ。だとすれば痛快、痛快!」などと勝手に想像してしまった(これは個人的な妄想であり、ことの真相は不明です)。もっとも、インタビューは放映したものの、「ルックイースト政策」がどうの、ケーッセキ安倍との関わりがどうのと、「ニッポンスゴイ」的な方向にまとめようとする「努力」が垣間見られ、せっかくいいインタビュー映像を撮ったNHKに対し哀れな印象も得たものだ(まぁ、いかにもニッポンという感じもしますがね・嗤)。
オレ自身も、現在の中華人民共和国、もっといえば中国共産党には問題が山積していると考えている。あの覇権主義は危険そのものであり、すでのあの手この手──経済援助という名の支援もその有力ツールだ──で侵略行為に手を染めているのが中国共産党だ。だが、そこに米国のような軍事的対抗をしてゆくことは、まさに彼ら(米国)がこれまで幾度なくしてきた開戦への罠に陥る可能性を否定てきない。中国がそれを狙っているのかどうかはともかくとしてだが。しかし、そうならないための策はあるハズではないのか……。
ともあれ、マハティール元首相のなかに、歴史に学び、それを現在や未来に生かすというセンスを感じることができた。最初の話に戻すならば、(たとえ暴虐プーチンロシアから自国を守るという建前があったとしても)NATOなどが対立を解消できるとはとても思えない。
>たぶん中国語や日本語にもあって、ヒンドゥー語にない言葉が三つあるが、それが何かわかるか。私が首を振ると、キャロラインが教えてくれた。
「ありがとう、すみません、どうぞ」の三つよ。
この三つの言葉は、本来は存在するのだが(以下略。『深夜特急3』(沢木耕太郎・新潮文庫)
これを日本という国(個々の日本人一般ではなく)に当てはめるのであれば、「ありがとう、すみません、どうぞ」ではなく「反省」という一語が筆頭に居座るのではないかなどと思っていたが、そういう国家は、残念ながら日本だけでなかったらしい。ロシア然り、米国然り……。
なんだかいよいよ絶望的な気分になってくるが、マハティール元首相のメッセージがどれだけ日本の大衆に届き、正当に咀嚼されたか。わずかな期待を持ちたいというのもまた本音ではある。
●追記
ところで、フィンランドの首脳といい、マハティール元首相といい、なんだって英語でスピーチしていたのだろう。
フィンランドのサウリニーニスト大統領とサンナマリン首相によるNATO加盟意志表明のスピーチをTVで見たが、なぜか英語であった。演壇の背後にEU旗が見えたから、ひょっとするとEUの国際的な場では英語が公用語になっているのかもしれんなどと思ったもんだが、仮にそうだとするとこれもまたよくわからない習慣といえまいか。なにしろ、EU加盟27カ国中で英語が母語ないし公用語としているのは、アイルランド(アイルランド語も公用語)とマルタ(マルタ語も公用語)だけであり、英語の総本山たる英国はすでに脱退しているのだ。
あえていえば、比較的国際間で通用しているということや、いずれの国の母語でもないことから、第三国言語を共通で用いることによって公平を期しているのかもしれんと──これはまぁ下世話な冗談ではあるけれど──、いかに国際的な公式の場だとはいえ(いや、むしろだからこそ)なんだって堂々と自国語で話をしないのだろうかと心底思う。世界的に報道されるさいには、日本であれば日本語に訳されるわけだし、米国なら英語にあっちで訳すことになる。なにもあの場で英語なんぞ用いる必要性はまったくないではないか(たとえば、米国との2国間の首脳会談といった場であれば、お互いの発言に正確を期すという意味でも英語──これだって米国側がフィンランド語を用いてもいい話ではある──を用いることは考えられるだろうが)。
マハティールさんの場合はもっと謎である。彼の業績については異なる立場も多々あることを承知しているつもりだが、近代マレーシアの難しい舵取りをした人物であり、御大であることを疑うことはできないだろう。そんな人物が、なぜ母語であるハズのマレー語でインタビューに応じなかったのか(マレーシアは英語を「準公用語」としてはいるし、中国系国民がマレー語と併せ中国語を用いているなど日常的言語の領域そのものが広いが)。まさかNHKにマレー語ができるスタッフがだれひとりいなかったなどとは考えもしないが、ああいう場だからこそ、国の言葉で応じてほしかったと思うのだ。
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