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2021.10.03

「危ない航空会社」をめぐるとある事件・・・の巻

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 新型コロナウィルス感染症が世界的流行に突入しつつあるころ、早々の「終息」ないし「収束」などありえないだろうという個人的な直感を当たブログで記したことがある(「哀悼の意を込めつつの巻」(2020年3月18日)。これは、以前にワケあって医学生向けの感染症や微生物関連書籍を読みふけったこともあり、コロナウィルスに関する基礎知識をほんの少しだけ仕入れていたことなどにもよる。

 同時に懸念したのが、旅行業界や旅客運輸業が相当規模のダメージを受けるであろうことであった。なにしろ巨大航空機メーカーでさえひょっとすると危ないのではないかと、あくまで素人目線ではあるが直感していたほどなのである。幸いにしてその事態には陥っていないようだが、すでに航空会社では破綻してしまった例も少なくはない。

 個人的にも仕事という点での影響は出ている。東南アジアや韓国などの鉄道の旅を書籍を視野に取材を続けているが、これは完全に棚上げ。じつはコロナ禍以前に書籍企画が進行しつつあったのだが、それもまた「おじゃん」である。仮に世の中が落ち着き、企画が再進行できることがあったとしても、すでに情報が古くなってしまっているなど、相応の追加取材をしなければならない状況にある。まぁ、こんなことをボヤいていても仕方のないことで、いまはどうにかネコともども飢え死にしない程度に仕事を続けられていることに感謝するのみだ。

 他人のことをとやかく言うのもなんだが、個人的に「ファン」である航空写真家のチャーリィ古庄さんあたりも大変なんだろうなぁと想像していたところ、こんなタイムリーなムックが発売されていた。
 題して「チャーリィ古庄が撮った 写真で見る消滅エアライン600」(イカロス出版)である。

 初代から3代目にいたるパンナム(会社間に関連はない)や「危ない航空会社」で必ずその名が出てくるバリュージェットなどの貴重な機体も多数捕らえられていて興味深い。デザインも楽しく、個人的には中国航空公司の尾翼に描かれた「中」の文字にグっときたが、どうせなら青地白抜きではなく白地に赤で「中」としてほしかった。真っ白な航空会社もあるので、対抗して「發」の字を描いた「オールグリーンエア(緑一色航空公司」なんてのが登場したかもしれん。

 本書に登場している航空会社が「消滅」した事情や経緯はさまざまで、パンナム(初代)のような大規模な財政破綻もあればバリュージェットのように大事故が契機となった例も少なくはない。著者は別の書籍でそうした「危ない」航空会社の便に乗った直後に同じ機体が大事故を起こしたなど紙一重の体験を綴っている。たとえばインドネシアのアダムエアであったり(墜落)、タイのプーケットエア(着陸時オーバーラン)などである。

 プーケットエアの場合、同社があのYS-11を現役で用いていたため、その取材で搭乗したその翌日に同じ機体が大事故を起こしたというスレスレの体験であったらしい。しかも、すでに商業飛行できる状態にある唯一の機体であったため、事故がそのまま会社に終焉につながってしまったのであった。

 しかし、オレが「おや?」と思ったのは、そのプーケットエアがわが国の自衛隊の海外派遣にチャーターされたことがあるという記述であった。これは2005年1月17日のイラク派遣ことと思われるが、通常であれば政府専用機が充当されるところ、プーケットエアがチャーターされたのである。事情については不明だが、2012年1月12日に岡山で開催された「防衛問題セミナー」のなかで、通常の大人数に対し「100名ということで」とその一端が明かされている。一方で、なぜ外国の、それもあまり名の知られていない航空会社が用いられたのかについては触れられていない。

 問題は、プーケットエアはボーイング747なども保有していたものの、いずれも中古機かつ整備状態も芳しくないことが知られており、2004年以降はEUから「危ない航空会社」として地域内への乗り入れ禁止のエアラインとされていたということである。そんな航空会社をチャーターし、「重要な任務」に就く自衛隊員にあてがった我が祖国ニッポン。少しでも危険を減らし任務を全うできるようにするのが政府の責務ではないかと思うのだが、なんだってまた「リスクの高い」航空会社を選んだのであろうか。

 これは推測にすぎないが、単純に「予算」の問題だったということはないのか? もしそうだとすれば、莫大な税金をつぎ込んだハズなのに、その大切なカネはいったいぜんたいどこに使われたのか。これが「重要な任務」であることは政府だって周知していたハズだが、その割には隊員の生命などどうだっていいと言わんがごとしの施策であった。

 かつて外国の戦地で生死の狭間で戦ってきた兵隊に「玉砕命令」を出し自滅を強制したニッポン(我が家系ではハルマヘラからやせ細って帰還を果たした叔父さんがいた。数々の生々しい話をいくらかうかがうこともできた)。
 オレには、ここに恐るべき共通点と変わらぬ邪悪とが顕在しているように思われてならない。

 なんだかずいぶんと話が逸れてしまったようだが、もちろんわざとである。

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