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2020.03.18

哀悼の意を込めつつ・・・の巻


  コロナ騒動がいよいよ世界規模となった。
  わが国はいうに及ばず、口悪く言うならば、世界のあちらこちらで拍子抜けするほどの「ドタバタ騒ぎ」が演じられている。そしてまた、なにを根拠にしているのか知れたものでない情報が錯綜し、それがまた騒ぎを増長したり、あるいは対策の手綱を緩めさせていたりする。

  ここ数日の間に、たとえば欧州における国境封鎖なども伝えられている。それらの施策をまったく理解できないワケではないにせよ、同時にそんなことをしている場合なのだろうかとの疑念も禁じ得ない。

  それにしても、終息ないし収束という言葉を報道などで見かけない日はないが、状況が落ち着くことはあっても終息などありえないのではあるまいか?
  なにしろ相手はウィルス、それも「風邪」の原因のひとつであるウィルスの仲間である。仮にこれが人類の手によって押え込めるのであれば、この世から「風邪」を激減させることだってできるハズだし、インフルエンザの流行だってまた然りなんじゃないかとシロウト目には思うのだが、このあたりについて専門家の本音をうかがいたいものである(撲滅が成功した天然痘とは異なり終生免疫が獲得されないらしい点も無視できない)。

  言い換えると、人類にできるのは、この新たな感染症といかに共存していくかということであり、それを前提に対策を講じるということこそがいまなすべき行動なのではないかと思うのだがどうなのだろうか。
  そして、そのためには国や地域の枠組みを超えて真剣に向き合うことが必要であり、あちらこちらの国が取り入れている断絶的手段はそれに逆行しているという解釈だってできよう。

「無知であるがゆえのパニック状態」

  失礼ながら、そういうフレーズが思い浮かぶ(新興感染症という点で「無知」であるのはいたし方ないとの見方もできるが、それにしたってという気もする)。

  一連の断絶は、まずもって経済の破綻を招くだろう(すでに進行しているが)。自分自身の仕事にも関連していることもあり、騒動のごく初期にあって観光関係業界(交通や宿泊、飲食、代理店など)が想像の範疇を超える被害を受ける可能性があると直感したが、そのなかには某巨大航空機メーカー(あえて具体名を挙げるのは避ける)だって破綻しかねないのではないかという“連想”も含まれる。もちろん、こんなものはシロウトのたわごとに過ぎないけれど……ぁあ、どっかの“阿呆”のかじ取りによって“投資”という浮世名のギャンブルに注ぎ込まれている我々の年金がどうなってしまうのか、そろそろ騒ぎだしてもいいと思うぞ。

  勝手な想像はいろいろあるが、もはや全人類の問題として、ともに智慧を出し合い前進するしかないと強く思う。

Hinkonbusiness01

  先だって、年末にできなかった大掃除をしたところ、あれこれ本やらCDやらが発掘された。もちろん、いずれもすでに読んだり聞いたりしたものだが、発掘ついでにいまいちど開いてみると、なにかと刺激になっていい。
  本書『金儲け弁護士の自己破産ビジネス』(白川勝彦/幻冬舎/2012年)もそんな1冊だ。

  ひところサラ金相手の「過払い金」がクローズアップされたが、本書はそうした動向をふまえつつ、現場で起きていることなどを第一線の弁護士の視点で明らかにしている。そこには恐るべきカネモウケの実態も暴露されている。なかには“悪徳金融業者”顔負けの“追い剥ぎ”に近いおそるべき弁護士や法律事務所の存在も綴られていて驚く。

  各章の見出しを見てみよう。

・第1章:多重債務者を喰う金儲け弁護士たちの実態
・第2章:私が自己破産を勧めない理由
・第3章:多重債務者を生かすも殺すも弁護士次第
・第4章:人生を再出発するための債務整理
・終  章:債務整理の原点


  著者──残念ながら、昨年末に他界されてしまったが──は債務整理にあたって、自己破産を率先して勧めることはしなかったという。基本は「借りたものは返す」。しかし現実に返したくても返せない債務者はいる。そこで「過払い金」があればその交渉を業者とし、無理のない返済計画を依頼者と業者ともども立てて実行に結びつける。その具体的な段取りについてはここでは割愛するが、ときには依頼者に多額の現金を立て替えてまで債務整理の後押しをしたことすらあったという。そして、完済することによって債務者=依頼者は再び自信を持って社会生活ができることにもつながっていくと解いている。

  一方でこんなエピソードも紹介されている。

弁護士の一人が次のように言うのを聞きました。
「最近はもう、過払い金のようなおいしい事件がなくなったな」
(中略)
  某有名大手事務所は、450万円の過払い金回収に対して340万円を報酬として受理したうえで、依頼者を自己破産させたそうです。
(第1章)

  また、400万円の多重債務にさいし、過払い金100万円を回収、ところがそれに対する弁護士報酬として130万円を請求した事例なども紹介されている(つまり依頼者にとっては借金が増えただけだ)。

  幸いにしてそうした事態と縁のない身としては、まさに仰天の連続だが、つぎの記述はいまなお参考にすべき事実だと考える。

  弁護士ら有資格者が債務整理の依頼を受領すると、債権者に対し「介入通知」を送付したうえで債務返済に向けての話し合いにあたる。返済期間の利息増加をストップする「将来利息の停止」や過払い金を含む債務の減額、長期分割返済の交渉などである。しかし、なかにはそうした話し合い(明らかな違法案件はともかく)に応じない金融業者もいて、著者やほかの弁護士らもその実態を把握している。そこで、なかにはそうした面倒な債権者への交渉を引き受けず、楽な案件(相手)のみを取扱ったうえで依頼者を放逐してしまう弁護士や法律事務所も存在しているというのである(そういえば、依頼前に借りている業者をフリーダイヤルの電話で教えてくれといったテレビコマーシャルを見た覚えがある。しかし、相談以前にそんなことを知ってどうするのだろうと素朴に思った。その法律事務所がここにあてはまるかどうかはわからないけれども……)。

  などなど、書き出せばキリがないが、リスペクトしてやまない白川弁護士がどのような信念をもって仕事にあたっていたのか、そんなことにも思いを馳せるのであった。

Sirakawa02

『自公連立解体論』(白川勝彦/花伝社/2008年)も再会した1冊。
  ごくかいつまんで言えば、昨今の自民党のザマ、そこに至る課程を顧みることができる好著といえる。前掲書と同様に各章の見出しを列挙しておこう。

・序章:自民党政治は終焉するのか
・1章:公明党・創価学会との10年戦争──何を戦ってきたか
・2章:諸悪の根源としての公明党
・3章:創価学会党と化した自民党
・4章:自公“合体”政権批判
・5章:政教分離問題原論


  あれこれ論評しだすとキリがないので、いまのケーセッキ政権と濃密に関連する部分を1カ所だけ(といっても少し長くなるが)引用しておきたい。

  >新手の詐術を使う安倍首相
  公明党との連立について詳述したのは、自民党そしてわが国の政権の基本に関することだからである。このような基本的なことですら、自民党のいったことはまったく当てにならないのでる。いった舌の根も乾かぬうちに平気でいったことを反故にするのである。
  ということは、自民党のいうことなど最初から信じない方がいいことになる。いや、信じる方が馬鹿だといわれても仕方がないのかもしれない。
(中略)
  気狂に刃物というが、政権党の嘘も危険極まりない。
  小泉前首相は、ワンフレーズ政治家といわれた。小泉純一郎という政治家を良く知っている私にいわせれば、小泉氏にはこれといった思想や哲学などなく、寂しいかなワンフレーズで表わせる程度の考えしかないのである。
(中略)
  小泉氏の後を継いだ安倍首相は、そのワンフレーズですらいわないというのだ。
(中略)
  民主政治は言論をもって行うものだが、自民党はそのこと自体を否定しようとしているのかもしれない。言論による闘いを放棄した者は、それでは一体何を武器にして闘いを行おうとしているのか。そのときに使われるのが、謀略である。(154~155ページ・3章。この間にある短い文章は次回アップでも触れます)

  まさに昨今の自民党政治の正体を鋭く見抜いている。やや古い本となってしまったかもしれないが、書かれてあることはいままさに切実さをもって迫ってくるハズだ。ぜひ本書を手にとってご一読いただきたいと思う。

  さて、この著者・故白川勝彦さんは、元自民党の幹部であった。だが、2001年2月4日に自民党を離党している。本書にはそのさいの「離党届」に記された文章が引用されている。

私は、一人の自由主義者として昭和五二年自由民主党に入党し、今日まで党の発展のために微力を尽くしてまいりましたが、公明党との連立・平成一二年総選挙の戦略戦術・加藤騒動に対する対応などに象徴されるわが党の路線・運営は、独立自尊の精神を失い、(中略)これを容認しこれ以上耐えることは、誇りある自由民主党党員としてもはやできません。
  よって、私は離党いたします。
(後略。189~190ページ・4章)

  このたとえがマトを得ているかどうかは断言できないが、オレは「生六臣」を連想した。
  「生六臣」とは、朝鮮王朝の初期に起きた事件に因む故事である。ときの第7代王(世祖。在位1455~1468年)が王位を得るにあたり、クーデター(癸酉靖難・1453年)をもって権力を手中にしたり、それに続いて6代王であった甥(端宗)を退かせるなど強引な手段を用いていた。
  それに対し、自らの生命を張って抗議した学者らがのちに「死六臣」と呼ばれ賞賛されたが、その一方で自ら官職などを退き蟄居することによって権力者に抗議の意を示した官僚や学者がいたのである。いうなれば「おまえ(7代王)の下では働くつもりはない」という話だが、そこにふと白川さんの生きざまを重ね見てしまうのだ。

  自民党を離れたのち、弁護士の仕事に邁進しつつ、雑誌記事や書籍、ウェブなどを通して言論をもって世論に語り続けてきた白川さん。残念ながら面識のないままに“心の師”としてリスペクトするのみだが、他界してなお、いろいろと学ばせていただいているのだとあらためて思う。

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