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2019.10.20

1杯ひっかけつつ読書の話・・・の巻


  読書の秋だから……というワケでもありませんが、最近読んだ本のなかからいくつかを題材にまかせを(゜゜;)(゜゜;)(゜゜;)

1976inoki

  中学生のころ、プロレスに夢中になったことがある。当時は全日本、新日本、国際と3大団体がそれぞれにテレビ中継を持っているという時代で、当然のこととして毎週都合3時間のプロレスタイムを楽しんでいたのであった。さらに、体育の担任であった柔道部顧問が大のプロレス好きで、いろいろと面倒をみてくれたこともプロレス好きに拍車をかけたものであったが……。

  3団体とも異なる個性と魅力があり、その違いもまた楽しみを増幅させたものだが、そんななか不思議と興奮しなかったのが新日本プロレス、すなわちあのアントニオ猪木を頂く超人気団体であった。
  おそらく、最初に中継で見た試合(あえてカードは伏せる)があまりにも地味に思えたことも後を引いたのかもしれないが、当時のオレは大スターレスラーであった猪木の試合もまた、たいていは面白いとは感じていなかったのである。ひとつには相手レスラーの問題もあったかもしれない。タイガージェットシンをはじめ、その試合ぶりはお粗末にしか思えず、他団体のスター外国人レスラーであったブッチャーやスミルノフなどと比べても貧相に映ったのであった。
  あるときは、あのローランボックが来日し猪木と対戦するというので、そのときばかりは興奮してテレビの前にかじりついたものだ。しかし試合場に現われたのは単なるタイガージェットシン。説明によればボックが交通事故に遭ったため代役としてシンが登場したということのようであったが、「心底ガッカリ」というのはああいうのを指すのだといまでも思っている。果たせるかな、試合内容も「それなり」にもならないお粗末ぶりで、さらにガッカリさせられたのではあるが……。

  断わっておくが、プロレスが完全な真剣勝負などとは当時をしても思っていなかった。試合スケジュールの組み方(興業スタイル)からして、真剣勝負などおよそ不可能であろうことは中学生でも理解できることであろうし、数々のタイトルマッチの顛末を見れば、そこになんらかの筋書きがあることは容易に想像できた(抗争を繰り広げていた当時のジャイアント馬場とデスロイヤーが試合場の裏で和やかにキャッチボールをしているのを目撃したというイカした話も聞いた・笑)。
  一度、NWA世界タイトルのリターンマッチで、トップロープから前チャンピオンのハリーレイスが転落、どうもキンタマを打ちつけたらしく起きあがれないままにジャイアント馬場から3カウントを喰らってしまったことがあった。予定されていた日程最後のタイトルマッチである。オレは素直に「これで馬場がチャンピオンとして全米サーキットに出るのか!」と喜んだものだったが、観戦していて気掛かりがひとつ。レフェリー・ジョー樋口の3つめのカウントが半拍ほど遅れていたのだ。「いいのかいな? でも仕方ないよな」という躊躇含みのカウント。結局、その後に予定外のタイトルマッチが組まれ、予定どおり(?)レイスがベルトを奪還して米国に帰国していった。別段、「そんなもんだろうな。でも面白かったからいいのだ」という程度のできごとではあったが。

  プロレスが予め勝敗(場合によっては試合の筋書きまでも)が決まった「フィックスマッチ」であることは、いまでは常識として定着している。本書『1976年のアントニオ猪木」(柳澤健/文藝春秋)にもそれは語られている。いうまでもなく、猪木もその実践者であった。
  ところが、猪木はことあるごとに真剣勝負をアピールし、ジャイアント馬場らに向けてだれが日本一なのか決着をつけようなどと挑む発言を繰り返していた。

  そうなのである。当時のオレには、こんな手法がいかにもウソ臭く下らなく感じられてならなかったのである。勝敗が決まっていて、そのうえで面白いストーリーを組み立て迫力のある試合をする。そうして成り立っていて、とうの本人もそうして商売をしていながら、同業者相手にケンカを売っている。それそのものがショウだとの解釈もできるとは思うが、こういっては失礼だけれどカッコが悪い(もっとも、表はそうであっても、裏では共存共栄の意識があったのかもしれないとも思っているのだが)。

  加えて、あくまで個人的な所感には過ぎないけれど、対戦相手と噛み合っていない試合が多かった印象も持っている。本書ではいかなる相手であっても巧みに引き立てかつ勝負を決める猪木の上手さを語っているが、やや違和感を覚えざるをえなかった。
  しかしそれはそれとして本書は面白い!  久々に興奮を覚えながらページをめくっていった。同時に「ぁあ、やっぱり……」あるいは「サイテーだな」という気持ちを禁じ得なかったところにも、本書の価値があるようにも思った。ある意味で危険なニオイさえするテーマを、じっくりを掘り起こす。そこには熱心な猪木ファンにとっては知りたくもない(書かれたくない)話も多いのかもしれない。しかし、そうしたファンや著者の真意はともかく、オレにとってはカッコよさとカッコ悪さがせめぎあうアントニオ猪木という偉人に対し、あらためて興味を覚えることとなったのである。

  ところで、本書にはその後に出版された「完本」なるシロモノがある。本書に触れられているが、著者が猪木にインタビューを申し込んだところ断わられてしまったため、断念したうえでノンフィクションとしてまとめたという。ところが、その後に猪木がインタビューに応じ(?)、そのインタビューを加えた形で「完本」として再出版されたというのである。
  本書は本書で完成したノンフィクションだと思っており、残念ながらその「完本」を読むつもりはない。したがって、なぜ後になって猪木がインタビューに乗り出したのかはわからない。ひょっとすると、なんらかの事実誤認かなにかがあって、語らずにはいられないといったことがあったのかもしれない。しかし、それはそれだ。

  本書には、2001年に出版された『真相はこれだ!』(祝康成/新潮社)で“真相”として語られたモハメッドアリ戦の裏話──いわく、試合前に猪木サイドがブラックムスリムから脅されただの、アリのグローブに石膏が仕込まれていただの──が「作り話」であることも暴露されている。そうした「作り話」の主人公が、後だしでなにを語ろうとも、オレには信用できない。心底ガッカリさせられた(猪木自身が本書に感銘を受けたがゆえという顛末ならばまだしもと思わないでもないが……?)。

「こっちでどんどん売り上げを上げて、●●をつぶしちゃいましょうよ!」
  ●●とは古巣の会社。相手は●●在籍当時から面倒を見てくださっていた先輩(現B社社長)である。先輩は即座にオレの冗談をたしなめたものだ。
「たとえ冗談であろうと、そんなことを言ってはいけない。マトモな大人が言うべきセリフではないぞ」

  競争はあってあたりまえ。でも、そこには共存共栄の精神がなければ。競争相手をつぶしてしまえだの、つぶれてざまぁみろだのという考えはいけないということである。勤め人時代の古いエピソードだが、その後のオレ自身の人生訓のひとつとなっている。蛇足ながら。

Gaesaekki01

  興味深いテーマということで開いた1冊。取材現場をはじめとする舞台裏のエピソードをはじめ、なにかと刺激を受けた。ただ、面白かったが読むのに異例なまでに時間を要した。終盤の数ページはとうとう飛ばしてしまった。面白いわりに読後の感触もよくなかった。自分なりに共感できる内容だったのではあるが……。

  理由を考えてみたところ、表題と内容とにいまひとつ乖離があることが、読前の先入観ともあいまり、好感につながらなかった理由のひとつのかもしれないと思った。これがたとえば『囚人狂時代』(見沢知廉)や『裏本時代』(本橋信宏)のようなタイトルであれば、また印象は違ったかもしれない(それを示唆する一文がサブタイトルとして添えられているが)。

  いまひとつは、ときおり“愚痴めいた”書き方が散見されることだろうか。これはもちろんオレ個人の感想にすぎないが、著者の睡眠不足だの貴重な休日を他社のせいで潰されたことなど、読者にとっても、本書の表題からしても、まったく関係のないことである。
  細かい点では、たとえば、(アベ)政権批判になってしまうことを避けたがる森友学園側の弁護士の発言をスルーしていたり(個人レベルでは悪いことではないが、政権批判をしたがらない連中に言っているのは、「じゃぁ、共産党政権ができても批判するなよ」ということである)、著者も出席していた検察官と記者クラブ会員との和やかな会食についてもサラリを流されているのにも違和感を覚えた。

  言うまでもなくNHK(だけではないが)には優秀かつ魅力的な記者が多数在籍しているハズだ。だが、同時に「はたしてそうだろうか?」との思いもあらためて燻る。いずれ間を開けて再読してみようとは考えているのだが……。

Cs01

  テーマは飛んで……。じつはシューマンってむかしからあまり好きではないんですよ。ショパンがシューマンの「謝肉祭」に対し無視する態度を取ったというエピソードがあるが、オレ自身もあの曲を中学生のときにはじめて聞いてなにがいいのかさっぱり理解できなかった覚えがある(直接の関係はないが、あのアンドレジッドがおよそ“巨匠”的文学者とは思えない下劣な文章でショパンを持ち上げる一方でシューマンを卑下する一文を中学生のころに読んで、「ちょっとコレは違うんじゃないか?」と感じたのを思い出した)。とはいえ、「クライスレリアーナ」や「ファンタジー」などは好んでいるし、CDや楽譜も持っている。一方で同時代のブラームスは唯一「ピアノ五重奏(ヘ短調)」があるのみだし、リストはベートーベン交響曲全集ピアノアレンジのほかはライブラリーに一切ないから、シューマンはまだ聞いているほうといえる(笑)。
  ところが、作品云々をさておき、ロバートシューマンという人間そのものには興味がわく。いずれジックリとその人となりを探究してみたいもんだと思っているが、ふと女房クララシューマンのことがアタマに浮かんだ。

「そいや、クララを描いた本があったな……」
  そう気づきネットで検索したところ、ちょうど新刊が出たところだったらしいことがわかった。ところがちょっと値段が高い。そこで、その新刊のオリジナルにあたるこの『真実なる女性クララ・シューマン』(原田光子/ダヴィッド社)を古書店で購入、さっそく読みふけることとなった。

  これはまぁ、わりと知られた話であるのだろうけれど、幼くしてピアニストとして名声を得ていたクララに対し、シューマンはことのほか気遣いをしながらもその現実に対し嫉妬に近い感情を抱いていたとも考えられているらしい。そして周辺で活躍するメンデルスゾーンやショパンらと比べて、シューマンが評価を得るにはかなりの努力と時間とを要したようだ(ベートーベンやJSバッハも、いま考えれば不等ともいえる扱いをされていた)。そうした現実を気遣うクララ。やがてやってくるシューマンの病気と死。ブラームスとの友情。当時の音楽界の実態なども、クララが残した書簡などを読み解くことにより活き活きと伝わってくる。
  いい本と巡り会ったな……。
  しみじみとそう思った。

  ところで、クララとブラームスとの間の友情は、さまざまに解釈されときに脚色されているが、本書の終盤で描かれた一場面には心底感動してしまったものだ(このころ、クララの耳は相当に聞こえなくなっていた)。

>ブラームスはクララに楽譜をめくることを頼んだ。楽譜を見つつ、なるたけ近くで聞けるためである。

  この本、版元の「ダヴィッド社」というのがなんともイカすネーミングだが、調べてみたところシューマン曰くの「ダヴィッド同盟」とは無関係のようであった(゜゜;)(゜゜;)(゜゜;)

Barubora01

  さらに話は飛んで、「そいや前から読もうと思っていてそのままだったな」と気づいた『ばるぼら』(手塚治虫/講談社)を開いた。
  とある人気小説家がフーテン女ばるぼらと出会って摩訶不思議な体験をしてゆく話で、読み進めながら異次元かなにかに迷い込んだ気分にさせられてしまった。
「ぁあ、タマに現われては消えてゆくよな、ばるぼらみたいな女……」
  なんだか、妙にくすぐられる内容ではあった。

Hoffmann01

  その『ばるぼら』のページをめくりながら遠藤周作の“妖女シリーズ”(とオレが呼んでいる)『悪霊の午後』や『真昼の悪魔』『妖女のごとく』を連想したりもしたが、手塚自身が書き残したエッセイ(巻末に掲載)によれば、オッフェンバックのオペラ「ホフマン物語」から着想を得たのだという。それも、

>「ホフマン物語」はぼくにとって青春の感慨であり、人生訓なのです。

  というのだからタダゴトではない。
  このオペラは残念ながら見たことがなかった(アリアの一部は知っていたが)。そこで、さっそくDVDを購入する素直なオレ(笑)。
  う~~~~ん。たしかにそこここにこのオペラへのオマージュが散りばめられている。もちろんオペラも面白かった。こうしてまた、「いい作品に出会えたな」とうれしくなってしまうのである。

Hman02

  ところで、大韓にはホフ(HOF=호프)と呼ばれる居酒屋の1スタイルがある。だいぶ前になるが、ひょっとしてと思い「더스틴호프만(ダスティンホフマン)」とDAUM地図を検索したところ、そのものズバリ「ダスティンホフマン」なる居酒屋、それもご丁寧にダスティンホフマンの肖像を(たぶん)勝手に使ってでかでかと看板にしてある店に遭遇した。残念ながら、その顔看板つきの店はすでになくなったようだが、似たようなブツはまだまだあるのであった(紫の看板の店)。

Hman01

  で、そうなれば必ずあってほしいのが「ホフマン物語」なる居酒屋(ホフ)だわなぁ。もちろんありMASITAとも。「호프만이야기(ホフマンイヤギ=ホフマン物語)がо(^ヮ^)о
  まぁ、HOFMANじゃなくてHOFFMANNでしょうなんてヤボなことは言いっこなしということで(笑)。

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