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2017.08.07

タイ国鉄最長距離列車に乗る・・・の巻

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  バンコク発スンガイコーロクゆき37列車。前回アップでも触れたように、途中のハジャイ(ハートヤイ)ジャンクションまでパダンブサールゆき45列車との併結運転となっている。バンコクからスンガイコーロクまでは1159km。15時10分に出発して、到着するのはィ翌日の11時20分という長丁場だ。そのスケールだけでもワクワクしてくる。

  だが、(いちおうは)最初にお断りしておくべきこともある。この列車が向かうタイ深南部には日本の外務省から渡航に関する危険情報が発出されているのである。「海外安全ホームページ」によれば、ソンクラー県以南におおむねレベル2「不要不急の渡航は止めてください」以上がアナウンスされており、スンガイコーロクを含むナラティワート県などいくつかの地域はレベル3「渡航は止めてください」となっている。これはタイ王国からの独立を主張する勢力のなかの一部にテロ分子がおり、実際にたびたび爆弾事件などが起きていることによる(らしい)。スンガイコーロクに至る路線でも昨年9月に爆弾テロが発生。もっとも、同種のテロは同じタイ国内でいえば首都バンコクにおいても起きているわけだが、いずれにしてもより慎重な計画と行動が必須といえる。

  今回の計画でいえば、5月にクルンテープ駅窓口で切符を購入しておいたのだが、その後も現地情報を日々欠かさずにチェックしておいた。仮にいずれかの時点で危険と判断した場合にはルート変更を辞さない構えではあったものの、こうして出発時刻が近づいてきたのであった。
  件の渡航情報では、重犯罪に巻き込まれる可能性が(日本はもちろんタイなどと比べて)決して低いとは言い切れないアメリカ合州国が「まっさら状態」であったりするなどの疑問点がないわけでもない(個別に「スポット情報」などとして注意喚起はなされているが……)。しかし、無視するべき情報でないことは確かで、37列車にせよ45列車にせよ、終点までの乗車をお勧めできないのが残念だ(にも拘わらずこの列車を選んだ理由は後日のアップで触れます)。

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  タイ国鉄の始発駅では、かなり早い時間(発車1時間前など)から車内に乗り込めることもあり、少し早めにホームを訪れてみた。すると、前回の散歩でノンカーイ〜バンコク間26列車で遭遇したのと同じタイプの新型寝台車が客待ちをしており、「いよいよその1等車に乗れるか!」とにわかにウレシくなった。が〜。よくよくみればその新型編成はハジャイゆき31列車。では、わが37列車は……と思ったら、その裏側に停まっている古びた編成がそれだったのである。

  いずれも3等車(ボックス座席車)を含む雑多な編成で、冷房車は2列車計5両ある寝台車のみ。パダンブサールゆきに至っては1等車の連結すらないというありさまで、ほかに冷房なしの2等車(リクライニグ座席車)がある。日本の国鉄黄金時代の夜行急行を彷佛とさせる編成で味わいはあるのだが、かつてバンコク〜バターワース間の「国際列車」として名を馳せてきた存在であることを考えると、なんともやるせない。

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  乗車前に駅前食堂で一憩。遅い昼食を兼ねているが、これは正解であった。タイ国鉄名物(?)の食堂車謹製タイ料理セットのケータリングサービスがなかったのである。じつはそれも楽しみのひとつではあったのだが、新型編成だったノンカーイ〜バンコク間の26列車でそのテのサービスがなかったうえ、食堂車のメニューが大幅に簡略化されていたため、「あるいは?」という懸念があったのである。どうやら、それが適中してしまったようだ……。
  ただし、インディーズの車内販売はある。内容に当たりハズレがあるという印象ではあるが、そんななかやってきたおっさんが、「ナイショだけど」という風情でコッソリと缶ビールを勧めてきた。なんだかいけないモノでも商うかのごとしの態度ではあったが、タイ国鉄では車内飲酒くむじ(禁止)が謳われている。とはいえ、食堂車などでは酒類の提供があったハズだが(26列車にはなかった)、いまやこんな長距離寝台列車もまた酒が御法度になってしまったということなのだろうか?

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  1等寝台車客室。

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  ベッドになりMASITA。こうして発車後にベッドの設営と朝の解体をするのがタイ国鉄流。朝は6時台だの7時すぎだのとゆっくりと寝られないのが残念だが、この列車では終点のスンガイコーロクの手前までベッドのままであった。

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  ミネラルウォーターつき。クルンテープ駅開業100周年記念バージョンボトルであった(前回も同様)。

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  御大・宮脇俊三の「泰緬鉄道とマレー半島の国際列車」(『椰子が笑う 汽車は行く』文春文庫に所収)でも語られていた光景。この手前にあるトイレにシャワーがあるのも一緒。ハジャイで後ろに荷物車が連結されたのも一緒(本書ではバターワースゆきだったが)。ただ、列車としての“格”は変わってしまったのが異なる……。

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  一夜を明けてハジャイに到着。バターワースゆき(編成前方)との切り離し作業でしばらく停車。せっかくなのでホームを探索してみる。

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  ちょっとウチの子ちゃん柄が入ったネコо(^ヮ^)о
  ところで、ココではハジャイと記してきたが、ローマ字の綴りは「HAT YAI」。そのまま読んだハートヤイと記されているケースのほうが一般的なようだが、現地(南部人)の発音だと「ハジャイ」のように聞こえるという。それはともかくとして、発車前にクルンテープ駅でもらった時刻表には、「Hadyai」と記してある。これならむしろ「ハジャイ」ではないかということで、さしあたりハジャイとしてみたという次第。こうして地名の発音を自分なりに確かめるのも一連の取材旅行では欠かせない行事となっている。

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  ハジャイ以南では、いよいよジャングル度が増してきた。カバトットふうにトリつきのウシが放牧(?)されているのは今年3月の南部探訪(パッタルン以北)と同じ情景だが、倒れてバタバタともんどり打っているウシを目撃してしまった。あくまで推測だけど、ひょっとしてコブラかなにかに噛まれたのではアルマジロ?  なんかイヤ〜なものを見てしまった気分であった(゜゜;)(゜゜;)(゜゜;)

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  いちおうサッカー場のようだが、ウシの御食事処と化してますなァ。

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  なぜか観覧車の残骸(?)が……。

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  下車欲をそそられる情景だが、すでにテロ多発地帯に入っている。線路脇のフェンスはいうまでもなくテロ対策。もっとも、あるのは駅周辺だけだし、コレなら大韓東海岸ぞいのブツのほうがよほどの迫力があるというものなのだが。ちなみに、ハジャイ発車後に3人組の武装兵士が車内を巡回。切符を見せて行き先を確認しただけでパスポートの提示などは求められなかったが(車内改札でも同様)、ようはかような地域なのである。その彼らは、巡回の合間に空室となった1等寝台の個室で寛いで……もとい「待機」していた。

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  テロで名高い(?)ヤラーの街並。さしあたり街の名を屋号にした「ヤラー内科」ってのがあるんじゃないかと連想する日本人が500人はいることだろう。

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  15分ほど遅れて終点のスンガイコーロクに到着。

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  ひょっとして駅構内を武装兵士たちが闊歩しているなど物々しい雰囲気にあるのではないかと思っていたが、少なくとも表向きは平穏としたものであった。使われていない跨線橋からマレーシア側を望む。いつの日か「国際列車」として越境をしてもらいたいものだ。

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  駅舎もテロリストの好餌だというのがもっぱらのウワサ。写真なんぞ撮っても大丈夫かなと思っていたが、「構いませんよ」とのことなのでワンショット。とはいえ、万が一に備えて足早に立ち去る。

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  駅正門。この小屋の右側で兵士が警備にあたっている。
  ところで、スンガイコーロクの言葉をバラすと「ス  ンガイ  コーロク」。前回アップした乗車券にも「SU-NGAI  KOLOK」とタイプしてある。で、思った。大韓語というかハングルではどうなっているのだろうと。まずはあれこれ思いつく限りのハングルで検索してみた。
  순가이코록ってのが「SUNGAI KOLOK」に最も近い発音を表わすと思われるが、コレだと「SU-NGAI 」とは異なるなと思う(もっともたとえばアウトが「아우트(アウトゥ)」ではなく「아웃(アウッ)」だったりもするから、目よりも耳で外来語に文字を宛てがっているフシがある)。なかなか正解を出せなかったが、どうやら「수응아이꼴록」ってのがスンガイコーロクのハングル表記であるらしいことがわかった。これにローマ字を宛てると「SuEungAiKkorRok」。コレを一般に用いられているセンスでカタカナに置き換えるとすれば「スウンアイッコロッ」とでもなるのであろう。耳に聞こえる「スンガイ」ではなく「ス・ンガイ」に準じているところが意外というか興味を引いたが、このハングルの綴りでは、大方の日本人には正しい発音はできないだろうねぇ(응아=ウンアの部分の「ng」が鼻濁音となり、単語や聞き方によってはウンガと聞こえる。ネコ=고양이=コヤンイ≒コヤギが好例)。
  と、ヘンに細かいことを気にかけているようだが、この話はシンガポールでの出国前にも再登場する予定。

  ともあれ、まずは無事にスンガイコーロクに到着いたしMASITA。つづくо(^ヮ^)о

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