SRTの旅路はあっけなく……・・・の巻
大韓散歩冬の陣の巻。今回の目的は新規開業2路線の乗りつぶしという極めてシンプルな内容。前後に仕事がおしていることもあって、珍しくソウル3泊だけという短い日程となった。まずは昨年12月に開業した水西平澤高速線の試乗に繰り出す。
定宿のある鐘路5街から鐘路3街駅まで朝散歩。混雑する地下鉄3号線に揺られ水西平澤高速線の始発駅・水西駅までやってきたが、これだけでもうクタクタである。もっとも、鐘路界隈からわっざわざ水西平澤高速線に乗って出かけようなんていう物好きがそうそういるとも思えないが……。
水西平澤高速線は韓国高速鉄道のソウル側における副ターミナル線といえばいいだろうか。江南の水西と京釜線の平澤付近とを結ぶ全長61・1kmの路線で、大韓第2の高速列車であるSRT(スーパー〈しゅぽ〉ラピードトレイン)が最高時速305kmで運行されている高速新線だ。全体の93%、およそ57kmがトンネル区間で、途中駅として東灘と芝制駅があるが、今後は駅を増設のうえ首都圏広域急行鉄道と共用されることが計画されているらしい。
現在運行されている高速列車SRTは、水西を拠点に釜山と木浦(一部列車は光州松汀)との間を結び、平澤(平澤分岐点)以南は京釜高速線など既存の路線に乗り入れている。車両はご覧のとおりKTX山川と同様の形式ではあるものの、運行は韓国鉄道公社(KORAIL)ではなく、その子会社であるSRが担当。運賃もKTXと異なるなど、にわかにはわかりづらい運用が見られるのも面白い。
開業の背景には、京釜線のソウル側における線路容量の逼迫などが挙げられているようだ。また、ソウルの中心に近い鐘路から水西まで来るだけでくたびれたことを逆にみれば、江南地域などの利用者にとっては格段に便利になったに違いない。対するKORAILでは江南地域と光明駅とを結ぶシャトルバスの新設などでKTXの利用者離れ対策を取っているが、そもそも親子(会社)間でそんなこと(競争)する意味がどれだけあるのかという気がしないでもない。利用者にとってプラスになることであれば、なんにせよ歓迎ではあろうけれど……。
SRT水西駅。とりたてて特徴のある駅でもなし。
駅窓口はニコヤカな対応で好感大! 切符はKORAILの窓口同様のレシートタイプであった。
しかしそりゃいいとして、前夜にソウル駅の自販機で切符を買っておこうとしたところ、画面に入力(水西発SRT)こそできるものの、「そんな切符は売れまっせんでスムニダ!」という有り様。まぁ、ソウル駅でそんな客がどれだけいるのかという気がしないでもないが、わが国のJRも遠からずそんな具合になるかも……。
ホントはこの自販機で入手したかった。なぜかといえば、自販機で買うとレシート式ではなく旧来の紙カード式の切符が入手できるのである(KORAILと同様であればだが)。旧来式であれば保存もしやすいというワケだが、何台もある自販機はすべてクレジットカード専用で、なぜか手持ちの複数のカードが使えない。窓口で訊くと「外国発行のカードは使えないんです」とのことだが(大韓にはその手合いが多い。KORAILの窓口は使用可で、現金対応自販機も設置されている)、んならわっざわざ英語やら漢字やらで「自動券売機」なんて案内を出さなくてもいいだろうよなんてな悪態もつきたくなってくる。真面目な話、もったいない愚策だと思う。JRサンはマネしないでネ。
とてつもなく急勾配のカート用のスロープに驚く。却ってくたびれそうな気もするが(゜゜;)(゜゜;)(゜゜;)
駅前にはバス乗り場が整備されているものの、開発途上のニュータウンのごとし。
開業記念オブジェ。
そろそろホームに行きますかねぇ……。
頭端(行き止まり)式ホームが3面6線ぶんに展開。
ホームの手前がガラス戸になっているので、頭端式らしさには欠けるが、車止めがあるのはターミナルらしくて好もしいかぎり。しかし、この構造からすると先々にソウル中心部などに延伸する目論みはないのだろうか?
3面6線は多過ぎるように思えなくもないが、頭端式駅であることや、地下区間が延々と続き車両基地や待避線がつくりづらいことを考えると、これぐらいの余裕は必要なのだろう。
乗降口の丸窓がグッド!
KTXの初期タイプだと、とてもじゃないが一般室(普通車)にあの運賃を払って乗ろうという気が起きないけれど(航空のLCCの座席を想起されたし)、KTX山川以降はこの点が格段に改善されている。
乗車率は50%程度といったところだろうか。全車両をチェックしたわけではないのでざっとした観察にすぎないが。
水西駅構内に設けられた展示スペースに各駅の紹介なども。途中各駅はこんな案配。
当初の計画では、京釜高速線に乗り入れた天安牙山までの乗車予定だったが、ワケあって益山まで足を延ばした。
ちなみに、益山駅発着列車の最新時刻表をもらったところ、SRTが完全に無視されていて仰天。もちろん上り列車欄に水西ゆきなんてのはひとつも載ってないし、下り列車でもないことになっている。いくら競争を強いられているとはいっても、なにもそこまでしてくてもねぇ……(しかも相手は自分んとこの子会社じゃないか)。これだけに限ったことではないけれど、こういうのを古くさい言葉を使ってたとえるなら「競争小児病」といったところか。一方で、人類には「共存共栄」というセンスだってあるワケなのだが。
水西発9時50分、益山着10時57分。あっという間のできごとではあった。
つづくо(^ヮ^)о
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