« 巨大クモ...の巻 | トップページ | 遊び盛り・・・の巻 »

2005.10.15

進む弱者切り捨て・・・の巻


 14日、郵政法案の影に隠されるようにして、恥知らずな法案が参院を通過した(自民・公明が賛成、民主・共産・社民は反対)。

「障害者自立支援法案」と呼ばれるこの法案は、名前こそ「支援」をうたってはいるものの、その実態は障害者福祉をも食いものにしようというきわめて自民党らしいビジョンに加えて、“弱者切り捨て”という小泉スネオのモットーに基づくものだ。各種医療機関の利用負担ばかりでなく、出産や作業所(就労場所)の利用にさえ応益負担を求めるというのが柱だが、問題のひとつはより多くのケアを必要となる重度障害者になればなるほど負担が重くなるというところにある。精神や身体などになんらかの障害を抱えている人たちが、満足な収入をあげることが極めて困難だということは、いわゆる“健常者”でもほんのわずかに頭を働かせるまでもなく容易にわかる。その乏しい収入からさらに必要経費を絞り取ろうというのである。

「応益負担」という言葉は、一見すると正論のように思われかねないけれど、「今日はラクをしたいからグリーン車に乗ろう(当然グリーン料金が必要)」だとか、「泊まるなら高級旅館」などというレベルの話では、この場合絶対にない。それどころか多くの場合、必要最低限の「応益」なのだ。「交通費すらないから歩いていこう」というところから「通行料」をせしめるような。
 たとえば重篤な心臓病にあって、治療を諦めることが即、死につながりかねない場合。それもけっして「より高度」な治療のためではなく、最低限のケアを受けるのにさらに「カネを払え」というのである。しかも収入は障害が足枷になってギリギリ以前な場合だってあるのだ。
 いままさになんらかの障害を抱えている人たちだけでなく、いわゆる“障害者”になる可能性は常にだれにだってある。しかしこんなことでは、冗談ではなく「自立」する前に社会から葬りさられかねないのではないか?

 ジャーナリストの本多勝一氏が「母親に殺される側の論理」(『殺される側の論理』・朝日文庫に所収)でこの国の福祉の貧困さについて触れたのが1974年。ここで氏は母親が脳性マヒ児のわが子を殺害した事件を引用しつつ、背景に「障害を原因とするさまざまな差別や貧困行政」があることを指摘する。詳しくは本文をお読みいただきたいが、「弱者や少数者を消す論理(中略)こそが、それこそが「社会の幸福、文明の進歩のため」の、ほんとうの敵ではないでしょうか。」と結ばれるこの一文は、いちおうの先進国である日本が抱え込んでいる社会の歪みについて、いまなお強烈なメッセージを送っているようだ。

 本多氏の一文から三十余年。日本社会の貧困さは、ますますその度合いを強めたようである。

|

« 巨大クモ...の巻 | トップページ | 遊び盛り・・・の巻 »

コメント

 給食室長さま、コメントありがとうございます。
 まさにしかりで、「ちょっとは想像力を働かせてみろ!」とでもこうした悪法をまかり通らせている連中に言ってやりたいところですね。“こうした悪法”のなかには、「障害者自立支援法案」だけでなく、医療費負担増や増税、年金切り捨てなども含まれますが、いずれもより生活が厳しい層にこそ重くのしかかってくるところに特徴があります。世のなか、働きたくてもなんらかの理由で満足にできない人はたくさんいます。また、一時的にせよ恒久的にせよハンディキャップを持つ可能性はだれにだってあります。そうしたところに多少なりとも手助けをするぐらいの度量すら、いまの日本は失ないつつあるということでしょうか。なんとも情けない話ではありませんか……。
 
 またぜひいらしてください!

 関連する内容で、「JANJAN」に面白い記事をみつけました。ご興味のある方はぜひ。
 http://www.janjan.jp/government/0510/0510264355/1.php?PHPSESSID=389c2199063086fbaa5644a1eba852bb

投稿: 猫池 | 2005.10.27 23:27

癌治療中の者です。
左右とも乳癌の手術をしたため、重労働が出来ない腕になりました。仕事は営業職なので特に腕を酷使することも少ないため、なんとか働いてはいられます。しかし、3週間おきの抗癌剤治療で、月々4万~8万円の治療費がかかり、さらに副作用のために仕事も時々休んでいる状態です。決して高い給料ではないため生活費と治療費でぎりぎりorマイナスという状況です。それでもとりあえずは働けているのでなんとかやっていますが・・・
体調のよい休日にアルバイトでもしようかとも思いますが、両腕が使えないためそれも無理。
「誰か助けてー!」と叫びたくなることありますよ。
なんとかなる私でさえこんな状況です。障害を持った方はもっともっと切実ですね。
てめぇら一度そういう経験をしてみろ!とテレビに向かって声を出してる自分にびっくりしたこともありました。

投稿: 給食室長 | 2005.10.27 12:25

 Tokkyさま。
 コメント&TB、ありがとうございます。

 多くのマスメディアが「小泉チルドレン」がどうのというバッカバカしい報道に明け暮れている裏側で、市民生活の根っこが切り捨てられ締めつけられてきています。今回アップしてみたこの悪法にしても、メディアが真正面から取り上げる機会はきわめて少なく、多くのひとびとにとって「関係がない」かのごとく審議が進められてきた点に空恐ろしさを感じるものです。・・・でも、ただ黙っているわけにもいきませんよねぇ……。

 Tokkyさんのブログ、とても興味深く拝見しました。
 こんごともよろしくお願いいたします。

投稿: 猫池 | 2005.10.16 13:35

 TBさせていただきました。
知的障害者施設に勤務しているものです。実は福祉業界の人間すべてが「障害者自立支援法案」に関心を抱いているかというと、そうでもないんですよ。とっても寂しい事ですがね…。
 だからこうやって、福祉業界に身を置いていない方々か「障害者自立支援法案」に関心を示し、記事にしてくださっている方にめぐり合うと、とても嬉しく心強く感じます。

 また立ち寄らせていただきますね。お邪魔しました。

投稿: Tokky | 2005.10.16 02:37

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 進む弱者切り捨て・・・の巻:

» 障害者自立支援法案 可決! [大切なみんなのためにできる事…]
 本日(10/13)17時26分  参議院厚生労働委員会において審議されていた「障害者自立支援法案」は、委員長職権により可決となりました!。明日には、参院本会議採決となりそうな情勢です。  現在国会前では複数の当事者団体が抗議行動を行なっており、大混乱との情報も入っています。  今回の委員会採決に至るまでの審議状況等については、後ほど追って掲載いたします。まずは速報まで。... [続きを読む]

受信: 2005.10.16 02:26

« 巨大クモ...の巻 | トップページ | 遊び盛り・・・の巻 »