ドン・キホーテ放火殺人事件に思う・・・の巻
12月13日から続発しているディスカウントショップ「ドン・キホーテ」放火事件。死傷者が出るなど許し難い事件であり、犯人逮捕を含めて、早い解決を期待したい。
事件捜査は素早い展開をみせ、同日、「店内からカゴと商品を持ち出した」とする窃盗容疑で女性を逮捕、18日には家宅捜査を行なうとともに「放火容疑」についても追求がされているという。女性は「火や煙がみえたので(カゴを持ったまま)びっくりして逃げた」と放火容疑については否認をしている。
さて、この事件報道をみていて、以前起きた「松本サリン事件」を思い出した。1994年6月に起きたこの事件は、長野県松本市の住宅街で深夜に起きたもので、死者7名、重症4名を出す惨事となった。事件から6日後(7月3日)、捜査本部は「サリンと推定される物質を検出」と発表し、被害者である河野義行氏(当時44歳)に事情聴取を行なうとともに、家宅捜査を行なっている。はたして河野氏は警察・マスメディアによって完全な犯人に仕立てあげられ、翌3月に起きたオウム真理教(現・アーレフ)による「地下鉄サリン事件」まで、その“汚名”が晴らされることはなかった。事件は、オウム真理教教祖=麻原彰晃の命令により同教団が行なったことが明らかになったが、当時、容疑者の段階で、それも容疑を否認している状態のなかで同氏を犯人として祭り上げたマスメディアの姿勢は、その後、報道のあり方についての一石を投じる結果となった(同様に警察の“冤罪”でっち上げの遣り口も明らかになったが)。
今回の放火事件関連の捜査や報道をみていると、その多くが窃盗容疑で逮捕された女性が放火事件についても犯人である可能性がきわめて濃厚だという前提に立っているとしか思えないフシがある(ビデオに残さなかったため具体的にお伝えできないのが残念だが、12月16日あたりであったNHKの報道がその極みだという印象を残した)。他店でのボヤ騒ぎでも「(容疑者と酷似した)不審な女がビデオに写っていた」だの、女性逮捕後に起きた同種の放火に際しては「模倣犯」ではないかと発表する警察のコメントをメディアがそのままタレ流しにしている(一部に例外があるが)。当初は「白い服を着た男」という児童の証言も伝えられていたのに、これはどうなったのだろうか? その一方で、果たして同種の窃盗容疑で家宅捜査まで行なう必要があるのかどうかについての検証が、自分が知るかぎりではみられない(事実上、放火の容疑者として捜査しているとしても、この段階で家宅捜査までが認められることの恐ろしさを市民はもっと敏感に感じるべきであろう)。
この一文を書いている12月18日段階では、犯行についての詳細は明らかになっていない。だが、実際に犯行を行なったのが誰であるにせよ、別件容疑で拘留されている市民に対して警察の“推論”を無批判に報じる姿勢は改めるべきであろう。この記事http://news.www.infoseek.co.jp/topics/society/don_quijote_serial_fire.htmlなどはむしろ煽っていないか? 記事本文には「窃盗容疑で家宅捜査」と記しているクセに、見出しには「ドンキ連続放火」とある。どっちが本当なんだ? 家宅捜査は放火事件のそれと断定していいのか(辺見庸さんが、ご自身が在籍していた共同通信について「(いまの記者たちの多くは)100回生まれ変わってもマトモなジャーナリストになんかなれっこない!」と嘆いていたのを思い出す)。松本サリン事件の教訓が、なにひとつ生かされていない。
*この記事は「日々是雑感」12月4週(12月23日アップ)にも加筆して再掲しました。
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コメント
B-CHANさま。トラックバック、ありがとうございます。
ご案内いただいたブログ「STELLAR WIND blog by B-CHAN」でお書きになっていることはまさにその通りで、「だれが悪いのか?」という“勧善懲悪”的な論調を展開することのむなしさを感じないではいられません。本文にも記しましたように、事件を伝えるメディアの視点や姿勢におかしなものを感じることもしばしばです。個人的に、ドン・キホーテのあの陳列方法には見づらいうえに防災面での疑問を感じていたこともありまして、(同社の体制が大きく影響したかどうかという点を考えるまでもなく)死者まで出した結果については重大な責任があると考えています。それにからめまして、消防査察についての疑問を加筆したものを23日アップの「日々是雑感12月第4週」記しましたのでご覧いただければ幸いです。
なお、木村剛氏のブログ「週刊!木村剛」をのぞいてみましたが、論評には価しませんね(笑)。引用だけの材料で判断を読者任せにする──わからなければそれは読者のせいだ──ようは自分でもわかっていないのですね、このヒト。
またご意見や情報などをいただければ幸いです。
投稿: 猫池 | 2004.12.22 14:01